EVに専用タイヤは不要?通常タイヤでコスト削減│荷重指数の理解

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タイヤのアップメンテナンス

「お店で、EV車にはEV専用タイヤが良いと言われたけど?」
「EV車は重くてトルクがあるから、タイヤの減りが早い気がする」

最近EV車が多くなるにつれ、こんな疑問を持つ人も多くなっています。
実は、EVは必ずしもEV専用タイヤを必要とするわけではありません。
従来のタイヤもEVに使用できるため、タイヤの選択肢は幅広くなっています。
この記事では、通常タイヤをEV車に使用する際の、知っておくべき知識やその理由をまとめてみました。

通常タイヤでカバーできる

近年、タイヤメーカーはEVの増加に対応して、従来のタイヤよりも転がり抵抗が小さく、静音性や耐久性を確保しつつ、グリップ力と耐久性に優れたタイヤを開発しています。
通常のタイヤ技術も急速に進歩しており、広範な車種に対応できEVにも使用できるため、必ずしもEV専用タイヤの必要性は薄れつつあります。

フジ・コーポレーション

通常タイヤの荷重指数(ロードインデックス)で対応可能

EVはバッテリーの重さのため、従来の内燃機関車(ガソリン車やディーゼル車)と比較して車両重量が重くなる傾向があります。
電動スポーツカーのバッテリーの平均重量は400kgですが、適切な荷重指数 を持つタイヤを選ぶことで、安全性を確保できます。
このため、必ずしもEV専用タイヤを選ぶ必要はなく、通常のタイヤでも安全に使用することが可能です。

荷重指数(ロードインデックス)とは何か?

タイヤの荷重指数(ロードインデックス)表記

荷重指数(ロードインデックス)は、自動車用タイヤが耐えられる最大負荷(重さ)を示す指標です。
この数値は、具体的な重量(キログラムやポンド)を表すのではなく、特定の参照表と照らし合わせて、そのタイヤが支えることができる最大の重量を確認するための数値です。
タイヤの側面には通常、荷重指数が記載されています。
例えば、「205/55R16 91V」の場合、「91」が荷重指数を示しています。
この数値は、特定の空気圧でタイヤが耐えられる最大荷重(kg)を表します。

具体的な例

例えば、ロードインデックスが「95」となっている場合、この数値はタイヤが一輪で対応できる最大負荷を示しており、参照表では「95」が約690kgの最大負荷に相当することがわかります。
このため、ロードインデックスが95のタイヤを4本装着した場合、車両全体で2,760kg(690kg×4)の重量を支えられる能力があることになります。

なぜ重要か?

正しい荷重指数のタイヤを選ぶことは、安全運転のために非常に重要です。
車両重量や積載する荷物、人の重さなどを考慮して適切な荷重指数のタイヤを選ばないと、タイヤに過剰な負担がかかり、摩耗が早く進むか、最悪の場合バースト(破裂)するリスクがあります。

空気圧と荷重指数の関係

荷重指数(ロードインデックス)は、タイヤが耐えられる最大重量を示す重要な指標です。
しかし、その能力を最大限に発揮するためには、適切な空気圧管理が不可欠です。
つまり、タイヤが定められた荷重を支えるためには、指定された空気圧が維持されている必要があります。
空気圧を点検し、適正な状態を維持することで、安全性を確保し、燃費性能の向上にも貢献できます。
タイヤの荷重指数は、適正空気圧での最大荷重を示しています。
空気圧が低い場合、タイヤが設計された荷重を十分に支えることができず、タイヤの変形や過熱が起こる可能性があります。
これにより、タイヤの摩耗が不均一になり、寿命が短くなるだけでなく、バーストの危険性も増大します。

パフォーマンスへの影響

正しい空気圧を保つことで、タイヤの接地面が最適化され、グリップ力や操縦安定性が向上します。
これは特に、緊急時の制動や急なハンドリングが必要な場面で重要です。

燃費への影響

適正な空気圧を維持することで、タイヤの転がり抵抗を最小限に抑えることができ、これにより燃費が向上します。
空気圧が低いと、タイヤの変形が大きくなり、より多くのエネルギーが必要になります。

空気圧の管理
タイヤに空気を入れるタンク

タイヤの空気圧は、1ヶ月で約5%程度自然に低下します。
また、気温の変化によっても空気圧は変動します。
気温差20°Cで約7%変化するため、季節の変わり目には特に注意が必要です。
空気圧は、月に一度、または長距離ドライブや重い荷物を運ぶ前に、チェックすることが推奨されます。
その際、正確な結果を得るために、冷えたタイヤで空気圧を計測することが望ましいです。
適切な空気圧を維持することで、荷重指数(ロードインデックス)の効果を最大限に活用し、タイヤの寿命を延ばしつつ安全で効率的なドライブが可能になります。

EV専用タイヤはコスト面で不利

EV専用タイヤは特別な設計や技術が必要とされるため、一般的に通常のタイヤより高価であり、EVオーナーに追加の経済的負担を強いる可能性があります。
通常のタイヤでも適切に選択すれば、EVの性能要件を満たすことができます。

専用設計によるイノベーション

EV専用タイヤは、従来のタイヤよりも価格が高い傾向があります。これは、EV専用タイヤの開発には、より高度な技術が必要なためです。
また、EV専用タイヤの生産量が通常のタイヤに比べて少ないため、スケールメリットが働きにくく、1本あたりのコストが高くなっています。
以下の設計要素が、通常のタイヤと比べてコストを押し上げる要因となります。

特殊素材と製造技術

低転がり抵抗

EVは、効率を極限まで高める必要があります。
低転がり抵抗を実現するためには、特別なゴム化合物やプロファイルが必要で、特殊な製造技術を用いることがコスト増につながります。

静音性能

電気自動車はエンジン音が出ないため、、タイヤから発生する騒音を最小限に抑える必要があります。
これには高性能な吸音素材やデザインが用いられ、静音性を向上させるための技術や材料もコストに影響します。

耐摩耗性

EVの強力なトルクにより、タイヤの摩耗が激しくなる傾向があります。
それを防ぐための強化された素材が使われる場合もあり、コストが上がります。

EV専用タイヤは選択肢が制限される

いろいろな種類が並ぶタイヤ

電気自動車(EV)の普及が急速に進んでいるものの、EV用タイヤの選択肢は依然として制限されています。
これはいくつかの要因により複雑な状況ですが、以下に主な理由を挙げます。

市場の成長段階

EV市場はまだ成長段階にあり、車両の販売台数が内燃機関車に比べて少ないことが、タイヤメーカーがEV専用タイヤを多く揃えない理由の一つです。
タイヤメーカーは、需要が確実にある市場に注力するため、専用タイヤの開発やラインナップの拡充には慎重になります。

ニッチ市場としての位置付け

EV用タイヤは、他の車種向けのタイヤに比べてまだニッチな市場に位置付けられています。
このため、市場の規模を広げるには日数がかかり、その間に新たな製品ラインの投入には慎重にならざるを得ません。

多様な規格の必要性

EV市場自体が発展途上であるため、タイヤに求められる性能や規格が完全に確立されていません。
また、規制や基準も影響します。
各国で異なる環境基準や安全基準が存在し、それに適合するタイヤを開発する必要があります。
これが新しい技術や材料の採用を妨げ、多様な選択肢を制限する要因となります。

まとめ

EV用タイヤは、その特性に合わせた設計が施されていますが、現状では通常のタイヤで対応可能な範囲が多いことが明らかです。
特に、適切な荷重指数(ロードインデックス)を持つ通常タイヤを選択することで、安全性や性能を確保できます。
さらに、EV専用タイヤを選ぶことで発生するコストの増加も無視できない点であり、ランニングコストを抑えたいドライバーにとって経済的な負担となりかねません。
また、現時点ではEV専用タイヤの選択肢が限られているため、消費者の自由な選択を妨げる可能性があります。
これらの理由から、EVに特化したタイヤを必須とせずとも、通常タイヤで十分に性能を発揮することができます。
将来的には、EVの普及に伴い、EV専用タイヤの選択肢も増えていくことが期待されます。