自動車整備工場の倒産増加! その要因とユーザーに与える影響とは

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閉まったシャッターに植物が覆っている車の雑記

【こんな不安を感じていませんか?】

 ・急な故障、でもどこで修理すればいいか分からない…

 ・いつも頼んでいた整備工場が無くなってしまった…

 ・車の整備のため、遠くまで行かざるを得なくなってしまった…

新型コロナウイルス感染症のパンデミックから経済が回復する中、自動車整備工場の倒産が増加傾向にある、というニュースが広がっています。

この現象は単なる一過性の問題ではなく、消費者や業界全体に波及し得る深刻な影響を及ぼします。

整備工場の減少は、整備・修理サービスの価格上昇、待ち時間の増加といったユーザーへの直接的な影響に加えて、中古車市場にも大きな変化をもたらしています。

本記事では、倒産の背景にある複雑な要因を解説しつつ、これからの自動車産業における課題と機会について掘り下げます。

自動車整備工場の主な倒産原因5つ

空っぽになった整備工場

車検・整備費用の低価格競争激化

大手チェーンカー用品店、格安車検やディーラーが、より手厚いサービスや価格競争を進めており、中小規模の整備工場が顧客を維持するのが難しくなっています。

またインターネットの普及により、ユーザーは容易に整備価格を比較できるようになりました。

集客力が弱い小規模な整備工場は、価格維持が困難になり、収益を圧迫されています。

競争激化により、市場から撤退せざるを得ない状況に陥っているといえます。

人材不足・後継者難

重労働であるにも関わらず、他業種と比べて賃金水準が低いことから、若年層の自動車整備士離れが進んでいます。

また少子化の影響もあり、若手人材の確保が困難になっています。

整備士の人手不足が深刻化しており、有資格者の採用競争が激しくなっています。

このため人件費が高騰し、経営を圧迫するケースが見られます。

さらに、十分な人材を確保できないとサービスの質の低下を招く恐れがあります。

また多くの整備工場では、経営者の子供が自動車整備に興味を持たず、後継者不足に悩む経営者が多い傾向があります。

特に地方では若い世代が地元を離れ、別の職業を選択することが多く、廃業を選択せざるを得ないケースが増えています。

技術革新への対応遅れ

ハイブリッドカーや電気自動車などの増加、先進安全装備の普及によって、これらに特化したスキルや機器が不足しがちです。

OBD検査(検査機を接続してエラーのチェック)の導入など、従来型の整備技術だけでは、対応が難しくなっています。

設備投資や技術習得のための費用負担が、中小規模の整備工場にとって大きな重荷となっています。

高齢化が進む整備工場では、これらの最新技術に対応できず、廃業を選択するケースも増えています。

消費者行動の変化

若者の車離れや少子高齢化の影響で、国内の新車販売台数は減少傾向にあります。

また車の寿命が延び、消費者が新車を購入する頻度が減少する一方で、整備や保守点検を必要としない期間が長くなっています。

節約志向によりセルフメンテナンスを行う消費者も増加し、整備工場の利用頻度が減少する傾向にあります。

それに伴い、整備需要も減少しており、整備工場の経営を圧迫しています。

新型コロナウイルス感染症の影響

コロナ禍による外出自粛やリモートワークの普及、経済活動の停滞により、自動車の利用頻度が減少しました。

そのため、エンジンオイルなどの消耗品の交換頻度が低下し、整備需要も減少しました。

車検や点検の法人需要に依存していた工場は、企業活動の停滞により大きな打撃を受けました。

これらの要因が重なり、売上が減少する一方で固定費用(賃料、従業員給与など)がかさむことで、多くの工場が資金繰りに苦しむことになりました。

政府の支援制度があるにもかかわらず、一部の中小企業は効果的に利用できず、多くの整備工場が経営難に陥り、経営体力の弱い工場から倒産に追い込まれる結果となりました。

ユーザーに与える影響

シャッターにテナント募集の張り紙


自動車整備工場の倒産増加は、ユーザーである私たちにも様々な影響を及ぼします。ここでは、特に重要な5つのポイントに絞って解説します。

整備・修理サービスの価格上昇

倒産によって市場からの供給が減少すると、残った工場での需要が高まり、需要と供給のバランスが崩れ ます。

残った整備工場に仕事が集中し、価格競争が起きにくくなり、整備や修理サービスの価格が上昇する可能性があります。

また、大手ディーラーなどに頼らざるを得なくなり、結果的に整備費用が高くなる可能性があります。

これらの要因により、ユーザーがより高い費用を負担する必要が出てくるかもしれません。

整備・修理待ち時間の増加

特定の地域で整備工場が減少した場合、生き残っている整備工場に予約が集中し、整備の予約が取りづらくなる、整備や修理の待ち時間が長くなる、といった事態を招きます。

これにより、ユーザーが車を使えない期間が長引くリスクがあります。

地方でのアクセス困難・経済の縮小

地方や郊外では、整備工場の選択肢がもともと限られているため、倒産によってさらに選択肢が狭まると、ユーザーがサービスを受けるために遠くまで行く必要が出てきます。

これは時間とコストの負担を増加させます。

また、自動車整備工場の倒産は、地方の雇用喪失や地域経済の縮小に繋がります。

地方では、整備工場が地域のコミュニティの一部となっていることも多く、その消失は単なる整備サービスの喪失以上の影響を与える可能性があります。

地域に密着したきめ細かなサービスや、顔の見える関係性が失われる可能性があります。

中古車のメンテナンス難易度の増加

特に輸入車や古い車両を所有しているユーザーにとって、特定のメーカーや車種に精通した工場が倒産すると、適切なメンテナンスを受けにくくなる可能性があります。

これは車の寿命やパフォーマンスに、影響を与えるかもしれません。

結果として、ユーザーが車両の買い替えを余儀なくされるケースも、出てくるかもしれません。

中古車市場への影響

整備工場の減少により、中古車のメンテナンスが適切に行われているかどうかを評価することが、
難しくなる可能性があります。

倒産した整備工場で整備されていた車の記録が残らないため、中古車の品質や信頼性への不安が高まり、市場での中古車の価値にも影響を与えるかもしれません。

特に、定期的なメンテナンスが重要な輸入車や、年式の古い車では、この影響が顕著に現れる可能性があります。

整備が必要な車両や古い車両の価格が下がる一方で、良好なメンテナンスが施されている車両の価格が、上昇する可能性があります。

まとめ

自動車整備工場を取り巻く経営環境は、厳しさを増しています。

業界全体で見れば、M&Aや業界再編が進むなど、生き残りのための対策が模索されていますが、個々の整備工場にとっては厳しい状況が続いています。

また生き残りをかけて、価格競争以外の戦略、例えば、専門性の高い技術やサービスの提供、顧客との信頼関係構築、異業種との連携など、新たなビジネスモデルを構築していくことが求められています。

自動車整備工場の倒産増加は、ユーザーだけでなく、地域経済の縮小などさまざまな影響を与えています。

私たちユーザーも、整備費用や待ち時間の増加、緊急対応の不十分さといったコスト増を強いられることになりそうです。